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首里当蔵市街地住宅跡地整備事業(びんがた・首里織の拠点施設)について

那覇市首里当蔵、龍潭通り沿いにある沖縄県住宅供給公社の「首里当蔵市街地住宅」。
老朽化や景観形成上などに問題があるため、2019年10月までに解体される予定です。
入居者らは首里石嶺団地南側に新築された沖縄県住宅供給公社の「JK石嶺ハイツ」へ転居しています。

景観形成上の問題とは、国指定史跡記念物名勝である伊江殿内庭園に隣接しており、庭園の経路を塞いでいる上に、高さが33.9m(9階建)もあるので、首里城からの眺望的にも芳しくないとされています。

この土地は沖縄県住宅供給公社が所有していますが、那覇市は当土地を取得し、跡地利用として紅型や首里織などといった伝統文化の拠点施設を建設する計画を立てています。
紅型や首里織の産地組合からも市長宛てに、拠点施設整備のために土地取得の要請がなされています。

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写真

↑首里城からの眺め

↑言われてみれば、目立つかも

↑隣接する伊江殿内庭園(国指定名勝)

↑入居者らが転居したJK石嶺ハイツ

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那覇市議会

那覇市議会での跡地利用等についての質疑応答を一部紹介します。

平成29年(2017年)6月定例会-06月13日

古堅茂治議員:(前略)首里城下町の景観・まちづくりについて質問します。
9階建て、33.9mもあり、首里城との景観で問題が指摘されていました沖縄県住宅公社の当蔵市街地住宅が移転します。
石嶺団地跡地での石嶺都市再生住宅整備の概要について伺います。

建設管理部長:沖縄県住宅供給公社の当蔵市街地住宅につきましては、石嶺市営住宅の活用用地を移転先地として整備が進められております。
沖縄県住宅供給公社へ確認したところ、新たに建設される建物の概要につきましては、福祉施設を併設した7階建ての賃貸住宅28戸と6階建ての賃貸住宅35戸、合計63戸を建設することとなっており、平成30年3月末の完成予定とのことでございました。以上でございます。

古堅茂治議員:国指定史跡記念物名勝、伊江殿内庭園に隣接している当蔵市街地住宅の移転後の跡地は、本市として伊江殿内庭園の復元整備とあわせ、首里城下町にふさわしい景観を形成し、王朝文化、伝統文化を発信できるものとして、活用を図るべきと考えます。見解を伺います。

市民文化部長:国指定記念物名勝、伊江殿内庭園は、国及び県の補助を受け、現在復元整備事業を継続しているところです。
隣接する当蔵市街地住宅は、庭園の狭隘な入り口部分に接しており、首里城や城下に集中する文化財を訪れる多くの方々が利用する県道に面した重要な場所にあります。
その市街地住宅の建物及び土地は、現在、沖縄県住宅供給公社の所有であり、移転が予定されております。
跡地利用について、議員のご指摘にあるように、首里城下町としての景観や観光振興、伝統工芸や伝統文化の発信拠点など、さまざまな側面からの利活用について、今後関係部署と検討してまいりたいと思います。

古堅茂治議員:首里織、びんがたなどの伝統工芸の振興、観光活用なども考えられるでしょう。英知を結集して、首里城下町にふさわしいものとしての活用を図るよう求めて一般質問を終わります。

ー議会録はこちらより引用

平成30年(2018年)2月定例会-02月26日

古堅茂治議員:当蔵市街地住宅の跡地利用に関する質問です。首里城にも近く、国指定史跡記念物名勝、伊江殿内庭園に隣接している沖縄県住宅供給公社の当蔵市街地住宅は、9階建て33.9mもあり、首里城との景観形成で問題点が指摘されていました。
老朽化と景観問題もあって、那覇市が所有していた石嶺団地建て替えの剰余地への移転新築工事が3月末に完成する予定です。
この当蔵市街地住宅の跡地利用について、当局は、2017年6月定例会での私の質問に対し、「議員の指摘にあるように、首里城下町としての景観や観光振興、伝統工芸や伝統文化の発信拠点など、さまざまな側面からの利活用について、今後、関係部署と検討してまいります」と答弁がありました。その後の検討状況を伺います。

経済観光部長:当蔵市街地住宅跡地については、伊江殿内庭園の入り口部分に接し、首里城や城下に集中する文化財を訪れる多くの方々が利用する県道に面していることから、琉球王朝の歴史文化を感じることのできる重要な場所でございます。
本市といたしましては、当該跡地の伝統工芸産業振興や観光振興の観点での利活用可能性について、琉球紅型や首里織の関係者の方々と意見交換を始めており、その利活用についての検討を進めてまいりたいと考えております。

古堅茂治議員:紅型や首里織など関係者と意見交換を進めていくとの姿勢を評価いたします。
首里城下町の景観を守り、文化・観光に資する施設づくりへ関係者と連携して頑張ってください。

ー議会録はこちらより引用

平成30年(2018年)9月定例会-09月14日

古堅茂治議員:本市の伝統工芸産業・観光産業の振興にも連動します、琉球びんがた、首里織など、伝統工芸の産地拠点づくりについての取り組みを伺います。

経済観光部長:琉球びんがたや首里織などの産地拠点づくりについては、平成30年7月25日付、産地組合から市長宛て、琉球びんがた、那覇伝統織物首里織、拠点施設整備のための土地取得について要請がなされております。
要請の内容としましては、琉球びんがた、首里織ともに琉球王国時代の王府の保護のもと、首里地域で継承・発展してきた歴史的背景等から、当該地域に所在する当蔵市街地住宅跡地を拠点場所とするため、本市による土地の取得と貸与を求めるものとなっております。
本市といたしましても、首里地域での拠点整備は、伝統工芸産業の振興や観光振興、ひいては地域の活性化に資するものと考えており、要望に沿えるよう努めてまいりたいと考えております。

古堅茂治議員:取り組み、高く評価いたします。業界と連携して頑張ってください。

ー議会録はこちらより引用

平成31年(2019年)2月定例会-02月18日

上原快佐議員:(前略)文化都市那覇の工芸を代表するびんがたと首里織がございますけれども、その拠点施設を首里当蔵公社住宅跡地に整備するとのことでございますけれども、この概要についてお伺いいたします。

経済観光部長:首里当蔵公社住宅跡地整備事業につきましては、首里当蔵公社住宅跡地に国指定の伝統的工芸品の琉球びんがた並びに首里織の産地組合の拠点施設整備を支援するものであります。(中略)これまで本市に対し、同地域での拠点確保についてさまざまな要請がなされてきましたが、現在までその実現には至っておりません。
また、首里織についても、同様に首里地域での産地としての拠点が確立されていない状況であります。
現在、豊見城市に整備中の沖縄県工芸産業振興拠点施設(仮称工芸の杜)については、計画時、首里地域を含む市内複数カ所の候補地が示され、本市としては当該拠点施設を市域に整備するよう強く要望してきましたが、実現には至りませんでした。(中略)
本市といたしましては、琉球びんがた、首里織ともに、琉球王国時代の王府の保護のもと首里地域で継承、発展してきた重要な工芸文化であること、そしてこれまでの経緯等から首里地域における伝統工芸産地としての拠点整備は、伝統工芸産業の発展と観光振興、ひいては地域の活性化に資するものと考えており、産地拠点施設整備支援のための用地取得に向け、取り組んでいきたいと考えております。

上原快佐議員:(前略)この事業については非常に評価しているものでございます。
ただ、文化都市那覇として、先ほども部長の答弁の中で触れられておりましたとおり、工芸の杜がお隣の豊見城市に、残念ながら那覇市は負けてしまってあちらにつくられることになりました。
さらに、空手会館、そして伝統芸能のほうでは国立劇場が浦添市にあるということで、那覇市発祥のものであるものがなぜか周辺のところに、那覇市が狭隘というところもありますけれども、なぜか周辺のところにいろいろと出て行って、ちょっと寂しい思いをしている市民の方も多くいらっしゃったと思いますけれども、今回このような形でびんがたと首里織、この拠点施設ができるということで、関係者の方は非常に喜んでいるのかなと思います。
ただ一方で、この施設を有効に利用して、那覇市の工芸に対する取り組みというものをもっと発信していかなければなりません。
そして、先ほども言いましたように、工芸の杜もすぐ近くにあります。豊見城市にありますので、その違い、すみ分けというものをしっかりとしていかなければいけないという課題があるかと思いますけれども、今後のスケジュールと課題についてお伺いいたします。

経済観光部長:今後のスケジュールにつきましては、平成31年10月ごろの住宅の解体工事終了後、用地取得に必要な不動産鑑定評価を実施する計画となってございます。
沖縄県が整備を進めております工芸の杜は、県全体の工芸品の展示や情報発信、工芸事業者の人材育成、インキュベート施設としての貸工房など、多機能な複合施設となっており、目的や役割が本事業とは異なっているものでございます。
また、拠点施設の整備につきましては、琉球びんがた事業協同組合と那覇伝統織物(首里織)事業協同組合の両組合が主体となり、本市は取得した土地を貸与することを想定しております。
事務所機能のほか、作業場、検査場、実演販売機能が検討されているほか、首里地域における文化や観光、商業の中心となる龍潭通り沿いに位置し、伊江殿内庭園にも隣接していることから、伝統工芸産業の振興のみならず、観光振興、地域の活性化にも資する施設となるよう支援をしてまいりたいと考えているものでございます。

上原快佐議員:しっかりと工芸の杜との差別化も図りながら、ただ、もちろん連携もしていく必要があると思いますので、そこら辺の連携もしっかり進めていただければと思います。
また、那覇市内には、びんがた、首里織以外の伝統工芸品が幾つかございます。また、伝統工芸に指定されてはいないんですけれども頑張っているところとか、例えば壺屋焼にしてもしかり、うるくクンジー(小禄紺地)にしてもしかりですけれども、ここら辺のほかの分野との連携というのもしっかり進めていきながら、さらなる那覇市の工芸振興を進めていっていただきたいというふうに思っております。

ー議会録はこちらより引用

平成31年(2019年)2月定例会-02月12日

平成31年度市長の施政方針

城間幹子市長:(前略)織物と染物を中心とした拠点施設の整備に向け、首里当蔵公社住宅跡地整備事業に取り組み、本市の伝統的工芸品の魅力を発信し、観光及び地域振興につなげていきます。

ー議会録はこちらより引用

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跡地利用

↑首里円覚寺跡

↑旧県立博物館跡地

沖縄県は、首里円覚寺の山門(三門)復元と、旧県立博物館跡地に戦前まであった中城御殿の復元を計画しています。
しかし、発掘調査が長引いており、復元はいつになるのか不明….。
いつまで空き地のまま放置しておくんですかね?非常に勿体無い。また、首里の景観形成上にもよくないと思います。

●円覚寺復元についての県議会での動き

平成27年(2015年)第2回沖縄県議会-07月01日

県教育長:円覚寺は、王家の菩提寺となった寺院で、国宝に指定されていましたが、去る沖縄戦で焼失しました。その後、復元整備が進められ、現在、国指定史跡となっております。山門の復元工事に関しましては、基本設計を終えており、次年度以降、実施設計が固まり次第、復元工事に取り組んでいく予定です。
円覚寺周辺整備については、今後、総門周辺及び境内の遺構調査を実施するとともに、古写真や設計図などの資料をもとに円覚寺跡復元整備検討委員会で検討を重ね、石牆の保存修理等に取り組む予定です。  県教育委員会としましては、こうした復元整備事業を進めることによって、往時の円覚寺として再現され、首里城と一体となって歴史的空間を表出することができるものと考えております。

ー会議録はこちらより引用

●中城御殿跡地利用についての県議会での動き

平成25年(2013年)第1回沖縄県議会-03月06日

土木建築部長:中城御殿の復元につきましては、「中城御殿跡地整備検討委員会」を開催し、整備基本方針、整備基本計画等について検討しております。平成24年度は中城御殿東側の木造による復元部分の予備設計を実施しており、平成25年度は残りの予備設計を進める予定であります。また、首里王府の国宝級資料の中城御殿への展示に向けて、現在、資料を所管している那覇市歴史博物館などと協議を進めているところであります。

-会議録はこちらより引用

平成26年(2014年)第2回沖縄県議会-03月05日

新垣安弘議員:首里城由来の資料について。美ら島財団は首里城由来の資料を多数保有しております。これらの展示は首里城に近接した場所が望ましいと考えますが、今建設を予定している資料館は首里城に近接しているのでしょうか。また、それは中城御殿の整備等と連携させたほうがいいかと思うんですが、いかがでしょうか。

土木建築部長:美ら島財団につきましては、貴重な歴史資料を多数所有しております。今回、収納場所の確保が困難となってきたために新たに収蔵保管する目的で、那覇市首里大名町に資料館を建設する予定と聞いております。ただし、展示についてはまだ検討中というふうに聞いております。
県のほうでは、中城御殿跡地につくる施設に展示収納機能などを整備するということで今検討しているところでございますので、今後、関係機関とよく協議していきたいと考えております。

-会議録はこちらより引用

●国宝尚家資料に関する那覇市議会での動き

平成25年(2013年)那覇市議会6月定例会において、『国宝「尚家資料」誘致に関することについて』が採択。
中城御殿跡地整備事業に尚家資料の保管、展示、活用を求めた陳情。
平成25年(2013年)那覇市議会9月定例会-09月12日

花城正樹議員:国宝「尚家資料」についてでございます。去る6月議会で、国宝「尚家資料」誘致に関することについて陳情が採択された。その後の対応についてお伺いさせていただきます。

翁長市長(当時):那覇市が尚裕様からご恵贈いただいた、国宝「尚家資料」については、平成24年第8回沖縄県議会並びに去る平成25年6月那覇市議会におきましても、旧県立博物館跡に沖縄県の中城御殿跡地整備事業に伴い、その中で保管、展示、活用するよう求められた陳情が採択をされております。
本市が管理する尚家資料は多岐にわたり、その中でも国王が使用した王冠や公式行事に使用した衣裳、調度品などの美術工芸品、琉球・中国の交流や王府内の行政記録などの古文書は、琉球王国に関して現存する数少ない歴史資料として、県内唯一の国宝指定を受けております。かつて尚家資料が展示された御殿跡に資料を展示することは歴史的にも観光振興の面からも大きな意義があると考えます。
現在、沖縄県の事業担当からの求めに応じる形で意見交換を始めたところでありますが、監督官庁である文化庁も強い関心を抱いていることから、企画の早い段階から情報交換が必要であると考えております。
さらに、尚家関連資料を有する沖縄県立博物館や美ら島財団、沖縄県立芸術大学等との事前調整も必要であり、これらを踏まえ、県との協議を重ねてまいりたいと思います。

-会議録はこちらより引用

円覚寺山門復元に関しては、政教分離の観点では問題はないのでしょうか?
「文化財の復元」なのでOKなのかな?
そこらへんの疑問も湧いてきます。

そして、県立博物館がおもろまちへ移転して10年以上も経っています。発掘調査が重要なのはわかりますが、いくらなんでも進捗鈍くない?
入域観光客数も増えていることですし、跡地利用計画をスピードアップしてほしいですね。

追記

沖縄県は、2020年4月24日に「首里城復興基本方針」を発表しました。
基本方針の中で、歴史的環境の創出(まちづくり)として、「首里城公園及び周辺地域の段階的整備 」を掲げており、沖縄戦で消失した、中城御殿円覚寺御茶屋御殿の復元を明記しています。円覚寺は、今年度中に復元工事に着手するとしています。

詳しくは2020年5月17日に更新した記事「中城御殿の復元は、なぜ停滞しているのか?【首里杜構想】」をご覧ください。

中城御殿の復元は、なぜ停滞しているのか?【首里杜構想】
次期琉球国王、王世子の邸宅であった「中城御殿」。復元計画が持ち上がっておりますが、ずっと停滞しています。那覇市議会や沖縄県議会の会議録から理由を探ってみました。

記事中の情報

2019/03/02:首里高校で発掘された「中城御殿」の現地説明会
2014/10/27琉球新報:県、円覚寺「山門」復元へ 戦災で焼失、18年度完工
2013/07/12琉球新報:尚家国宝、中城御殿へ

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この記事を書いた人
まぁびぃ

ハンドルネーム:まぁびぃ。
1995年1月30日、沖縄県那覇市出身。
2007年から2017年までは、Amebaでブログ運営をしていました。
現在は、WordPressで運営しています。
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