那覇市地域公共交通網形成計画(骨子案)に係る市民意見募集結果

那覇に次世代型路面電車?地域公共交通網形成計画(骨子案)に関する市民説明会
那覇市地域公共交通網形成計画(骨子案)に関する市民説明会に参加してきました。 那覇市は次世代型路面電車(LRT)を計画していますが、その内容は一体どういうものなのでしょうか?
那覇市LRTに関する市議会会議録をまとめてみる。
那覇市が計画しているLRT(次世代型路面電車)に関する市議会会議録を抜粋し、掲載していきます。過去を遡ることで見えてくる、遍歴がわかります。
那覇LRT素案に対する僕なりの見解
これまでに当ブログで公開してきた那覇地域公共交通網形成計画(骨子案)やLRT素案について、僕なりの見解を書きました。

当ブログでは、これまでに「那覇市地域公共交通網形成計画(骨子案)」に関しての記事を3つ公開してきました。
まだご覧になっていない方は、そちらから御覧ください。

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意見

2019年12月31日に公開した記事「那覇LRT素案に対する僕なりの見解」でも触れていますが、網形成計画に対して送った意見の回答が、那覇市HP上で公開されています。

市民意見及び対応内容一覧(PDF)

僕が那覇市に送った意見は以下の通りです。

網形成計画(骨子案)の「目標達成のための施策」などの取り組みは良いと思いますが、「なぜLRTなのか?」その導入意義は正直破綻しています。
以下、その理由を述べます。

1,「LRT計画の推移」

過去の那覇市議会会議録から遡り、推移を調べてみました。
約20年前、平成21年、当時の那覇市長 翁長雄志氏が政策で取り上げたのが、ことの始まりのように思います。
平成13年2月定例会(3月7日)で、翁長氏は「国際通り、平和通り等を路面電車やあるいはまた小型バス等で結べないだろうか」と述べています。
また、平成16年12月定例会(12月1日)の市長就任あいさつでは「新世代路面電車の敷設」、2004年~2005年の間は、新都心から国際通りまでを結ぶLRT構想を仮の話として答弁しています。
それが、2008年あたりから「国際通りと周辺部の新都心や真和志地域等を結ぶルート」と範囲が広がり、城間幹子市長が就任してからは、真和志地域を重視したLRT計画へと推移しているように見えました。
月日とともに、計画を見直すことは素晴らしいことと思いますが、この過程において、「LRTありき」「LRTは決定事項」になってはいないでしょうか?

2,「建設コスト・安価の面」

LRT導入にあたり、最初に語られる「建設コスト・安価」ですが、3つの素案ルートでは、約4.8km~約6.6kmの想定距離で、約322億円~約529億円と試算されています。
1kmあたりの事業費は約67億円~約80億円となり、本来あるべき20億円~30億円とする姿からは大きく逸脱しています。(もはや ゆいレールに近い)
平成20年2月定例会(3月3日)で、都市計画部長は「仮に本市内に約14㎞のLRTを導入した場合のケーススタディを行っております。その場合、概算事業費として約320億円、1㎞当たりに換算すると約23億円と試算されており、かなりの建設資金を必要とします。」と答弁されていました。
平成20年の段階と現在の素案では、1kmあたりの事業費が2倍~3倍以上になっています。

3,「LRT導入で真和志地域の公共交通不便地域解消は微々たるもの」

本当に不便な地域は、狭隘な道路であり、起伏や勾配がある地域です。市民説明会でも述べていたように、LRTは「既存の道路空間の再配分で用地の確保をする」のであれば、すでにそれなりに幅員のある県道・市道なのであって、真の公共交通不便地域とは言えません。
市長選や市議会でも、LRT導入意義は、真和志地域の公共交通不便地域解消の観点から導入するとしていたように見えますが、最近は「中心市街地と真和志地域の東西方向を結ぶ基幹的公共交通」とその導入意義がはぐらかされています。

4,「広域連携に前向きではない」

那覇市のまちづくりの視点から、ルート素案を策定したのは理解できますが、周辺市町村との連携に前向きとは思えません。
骨子案でも、広域連携について記述されていますし、市民説明会でも「広域連携は重要」としながらも、志しが感じられません。
与那原町は東浜地域でのLRT導入に前向きです。豊見城市もLRTについて計画があるようです。そことの連携を切り捨ててはいけません。

5,「予算確保」

現時点で、ハード交付金は削減され、予算確保に苦慮し、真和志線街路事業などのインフラ整備に遅れが生じています。
各市町村でも、ハード交付金を活用したインフラ整備に遅れが生じている現状から鑑みるに、ハード交付金から線路・電停の予算を確保するのは、計画の長期化・停滞が目に見えます。

以上の理由で、LRT計画には反対の立場です。
ある程度の幅員のある道路空間の再配分なら、もっと安価な手段で交通課題の是正ができるはずです。ぜひ再考してみてほしい。
LRTありきの決定事項で物事が進んでいるとしか思えません。

また、LRTの計画が、市民に伝わっているかといえば、正直微妙です。
知らない間に、あれよあれよと突き進んでいるように思います。その点も危惧しています。

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那覇市の回答

僕の意見に対しての回答のみを抜粋します。

Q1

市民意見内容
「LRT 計画の推移」
城間幹子市長就任前後あたりからは、真和志地域を重視した LRT 計画へと推移しているように見えました。
月日とともに、計画を見直すことは素晴らしいことと思いますが、この過程において、「LRT ありき」「LRT は決定事項」になってはいないでしょうか。
対応内容(回答)
LRT導入計画につきましては、2010 年(平成 22 年)に策定された「那覇市交通基本計画」において、将来交通ネットワークの中で「モデル性の高い基幹的公共交通」として位置付けられており、市民意見、道路管理者、交通管理者などの関係機関および公共交通事業者との合意形成を図りながら策定しております。また、2011 年5月には、「モデル性の高い基幹的公共交通」の段階的導入計画を中心に策定された「那覇市公共交通総合連携計画」において、アンケート調査を実施し、モデル性の高い基幹的公共交通の導入について回答者の約8割以上の方から肯定的な回答を得ております。
今後も、市民、県民などの多様なニーズを把握しながら市民や地域と連携しまちづくりと一体的に検討を進める予定であります。

Q2

市民意見内容
「LRT 建設コスト・安価の面」
LRT 導入にあたり、「建設コストが安価」について、3 つのルート素案では、約 4.8km~約 6.6kmの想定距離で、約 322億円~約 529 億円と試算されています。1kmあたりの事業費は約 67 億円~約80 億円となる。
平成 20 年 2 月定例会(3 月 3 日)で、都市計画部長は「仮に本市内に約 14kmの LRT を導入した場合のケーススタディを行っております。その場合、概算事業費として約 320 億円、1km当たりに換算すると約 23 億円と試算されており、かなりの建設資金を必要とします。」と答弁していました。
平成 20 年の段階と現在の素案では、1kmあたりの事業費が 2 倍~3 倍以上になっています。
対応内容(回答)
LRT 導入に関する建設コストにつきましては、2005(平成 17)年度の調査に次いで、2015~2017(平成 27~29)年度に、改めて「LRT導入可能性調査」を実施した際に、事業採算性等を算出するためのケーススタディーとして3つの導入ルートについて検証しております。
概算工事費については、既存路面電車等の試算単価を用いて算出したものであるため、今後、技術的・経済的・まちづくりなどの多角的な視点から、より具体的な調査・検討を行いたいと考えております。

Q3

市民意見内容
「LRT 導入で真和志地域の公共交通不便地域解消は微々たるもの」
真和志地域における交通不便地域の要因は、狭隘な道路であり、起伏や勾配がある地域だからです。
LRT は「既存の道路空間の再配分で用地の確保をする」のであれば、すでにそれなりに幅員のある県道・市道なのであって、真の公共交通不便地域とは言えません。ルート素案的にもそのように思います。
市長選や市議会でも、LRT 導入意義は、真和志地域の交通課題解消の観点から導入するとしていたように見えますが、最近は「中心市街地と真和志地域の東西方向を結ぶ基幹的公共交通」と、その導入意義がはぐらかされています。
対応内容(回答)
真和志地域へのLRT導入につきましては、沿線地域の土地利用の転換や民間開発の促進などのまちづくりの視点と合わせて、定時性・速達性などの移動利便性向上などの視点をもった計画として策定することを考えております。
交通不便地域については、LRTなどの基幹的公共交通の導入と合わせて路線バスネットワークの再編や、フィーダー交通サービスの導入の検討などを含めて取り組んでまいります。

Q4

市民意見内容
「広域連携に前向きではない」
那覇市のまちづくりの視点から、ルート素案を策定したのは理解できますが、周辺市町村との連携に前向きとは思えません。
対応内容(回答)
広域連携につきましては、各周辺市町村のまちづくりの考え方を踏まえながら、連携を図っていきたいと考えております。

Q5

市民意見内容
「LRT 予算確保」
現時点で、ハード交付金は削減され、予算確保に苦慮し、真和志線街路事業などのインフラ整備に遅れが生じています。
各市町村でも、ハード交付金を活用したインフラ整備に遅れが生じている現状から鑑みるに、ハード交付金から線路・電停の予算を確保するのは、計画の長期化・停滞が目に見えます。
以上の理由で、LRT 計画には反対の立場です。ある程度の幅員のある道路空間の再配分なら、もっと安価な手段で迅速に交通課題の是正ができるはずです。ぜひ再考してほしい。LRT ありきの決定事項で物事が進んでいるとしか思えません。
また、LRT 計画が、市民に伝わっているかといえば、正直微妙です。知らない間に、あれよあれよと突き進んでいるように思います。その点も危惧しています。
対応内容(回答)
LRT 導入計画検討にあたっては、透明性、客観性、合理性、公平性を確保し、市民などの理解と協力を得ながら、費用対効果など経済性も踏まえ幅広い視点で検討を行うことと考えております。

まとめ

まず、Q1「LRT 計画の推移」について
各計画で「モデル性の高い基幹的公共交通」と位置づけられ、市民意見、道路管理者、交通管理者などの関係機関および公共交通事業者との合意形成を図りながら策定し、アンケート調査でも「約8割以上の肯定的な回答を得た」と那覇市は回答しています。
事実、城間市長はLRTを公約に掲げ当選し、アンケートでも約8割が肯定的ならば、行政としてLRTを推進する確固たる理由になります。反証としては確かなものです。

続いてQ2「LRT 建設コスト・安価の面」について
僕が意見として投げかけたのは、「1kmあたりの事業費が約 67 億円~約80 億円もかかるのは、導入意義として語られる”安価”からは大きく逸脱している」という点です。さらに、概算工事費には、地下埋設物や車両基地に関する費用は含まれていないと説明会で言っていたので、さらに増える可能性があるわけです。
しかし那覇市の回答には、「なぜこれほどのコストを要するのか?」について明確な回答がありません。また、平成20年の段階から(ルートや想定距離、ケーススタディに違いはあるが)1kmあたりの事業費が2~3倍になっています。その初動の見誤りについての回答がほしかったのです。
東洋経済の記事によると、「建設中の宇都宮ライトレール(LRT)は14.6kmを新規に建設するのにかかる事業費は約458億円。1kmあたり約31億円。」とあります。なぜ那覇市はこんなにもコストがかかるのか?
那覇市は「今後、技術的・経済的・まちづくりなどの多角的な視点から、より具体的な調査・検討を行いたいと考えております。」とのことなので、今後の推移を見守りましょう。

最後にQ5「LRT 予算確保」について
予算については説明会でも質問しました。現時点でハード交付金の減額で各市町村のインフラ整備はアップアップしている状況なのに、今後もそれをあてにして計画を組むのは、事業の長期化や停滞へとつながるのではないのかという疑念です。
「しっかりと国の補助を受けられるように、我々も予算要求をしていく。」と説明会で言っていましたが、現時点で出来ていないのに、今後できるのか?特別枠で要求するのか?そこらへんの疑問に対する答えとしては弱すぎます。

色々書き連ねてきましたが、世論形成として肯定的な意見が多いのならば、進めていいのではないでしょうか。(僕個人的には、3つのルート素案は未だに反対傾向だけどね)
しかし、網形成計画で描かれている費用対効果が1つも欠けること無く、皮算用にならないように計画を進めてほしいですね。
あと、城間市長と市役所は発信力が弱すぎます。もっとLRT計画を周知させ、議論(賛否)やムードを高めていってほしいです。

記事中の情報

※当記事は那覇市ホームページから多数引用しております。

那覇市地域公共交通網形成計画について→こちら
2019/12/30更新:那覇市LRTに関する市議会会議録をまとめてみる。
2019/12/28更新:那覇に次世代型路面電車?地域公共交通網形成計画(骨子案)に関する市民説明会
2019/12/31:那覇LRT素案に対する僕なりの見解
キーワード:路面電車,次世代の党路面電車,沖縄振興公共投資交付金

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