瓦屋節歌碑と緑ヶ丘

那覇市牧志、沖映通りからニューパラダイス通りに入ると、そこには「緑ヶ丘」と呼ばれる丘があります。
この一帯は公園として整備中なのですが、ナイクブ古墓群や巨大な亀甲墓が数百基点在しており、それらが整備の妨げとなり進捗は芳しくありません。
※緑ヶ丘の俗称が「ナイクブ」。

那覇市議会2015年9月定例会で市民文化部長は以下のような答弁をしています。

緑ヶ丘公園整備に伴う発掘調査は、担当職員を1人から2人に増員をすることで、平成30年度までに調査を終えたいと考えておりました。しかしながら、その後、市内各所での開発に伴う調査が目白押しになり、現在極めて厳しい状況にございます。現時点で約100基の古墓が未調査であり、今年度10基を調査いたしますが、このような状況下で進めた場合、今後5年かかる予定となっております。

約100基が未調査で、年間10基ずつを調査する進捗状況なら、最低でも10年の時間を要する可能性があります。
しかし、市民文化部長は「今後5年かかる予定….」とも答弁していますので、2倍のスピードアップが求められます。大丈夫なのでしょうか?

また、緑ヶ丘一帯は、那覇景観資源指定候補 No.109「クヮーディーサーの林」の該当地域でもあり、豊かな自然が多く残っています。巨大なアカギやガジュマルなども自生しているので、それらの自然を生かした公園整備に努めてほしいと思います。

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瓦屋節歌碑

鬱蒼とした緑ヶ丘の頂上には、「瓦屋節歌碑」があります。
垣花武信・東江八十郎 共著の「沖縄文学碑めぐり」から、瓦屋節歌碑について一部を引用します。

豊臣秀吉の二度にわたる朝鮮出兵に参加した諸大名は競って陶工を連れ帰り、藩内の陶業を興した。その一人が、朝鮮人陶工の張献功(ちょうけんこう)で、和名を仲地麗伸(れいしん)という。
彼は1617年、尚寧王に招かれ、薩摩から琉球にやってきて陶器の製造を伝えた。那覇港の近くにあった湧田村に住んで、王府の命により御用品を製作する傍ら、若者たちに壺の焼き方などを指導した。
ある日、首里郊外を散歩していた張は、美しい女の人を見染め、妻にしたいと王府に願い出た。調べたところ、その絶世の美女は人妻で子どもまでいることがわかった。そこで諦めるよう説得したが、張は頑として聞き入れず、「あの女を妻にできないのなら国に帰る」という始末。
王府では陶磁器や瓦の製法の技術を十分に受けつぐまでは彼に居てもらわなくてはならず、そこで国のためと彼女に因果を含め、夫や子どもから引き離し、張の妻にした。
女は国賓扱いの彼の下で不自由ない生活を送ったが、別れた夫や子どもへの思いは日に日に募るばかり。陶工の目を盗んでは丘に登り、故郷の夫を恋い慕ってうたったのがこの「瓦屋節」なのである。
ところで、この陶工は張献功ではなく、沖縄で最初に瓦を焼き、その技術を後世に伝えた中国からの帰化人、渡嘉敷三良(さんらー)であるという説もあるほか、異なった物語が2~3伝えられている。

引用:「沖縄文学碑めぐり」より

渡嘉敷三良にまつわる物語はネット上に多数ありますので、今回は省きます。
ぜひ各自で検索してみて下さい。

渡嘉敷三良 瓦屋節
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碑の内容

撮影したのは2019年2月です。
この歌碑は鬱蒼とした茂みの奥にあり、夏場はバブや害虫など大変危険なので見学は控えましょう。

2つある石碑のうち右の碑には、以下のようなことが書かれています。

瓦屋節歌碑

琉球ノ陶業発展ノ陰ニマツハル物語ニ瓦屋節ノ悲歌ト伝説ガアル。ソノ由来ハ瓦ヲ焼出シタ異邦人デアル陶匠ノ妻ニサセラレタ女ハ夫ノアル人妻デアツタ。王命ニ従ツテ異人ノ妻ニナツテ行ツタ女ハ瓦焼ク丘ニ登リ夫ノ住ム村ヲナガメテ悲ンダトイフ女ノ情ヲ詠ンダ歌ガ瓦屋節ノ悲歌トナリ伝説ニナツテ伝エラレタ。歌碑ハ史実ト伝説ヲ秘メタママ黙ツテ真実ヲ語ラズ瓦ノ陶匠ヲ葬ツタトイフ因縁ノ深イコノ地照川原ノ丘ノ上ニ立ツテイル。

「陶匠ヲ葬ツタ」というのは、すぐ近くに張献功の墓渡嘉敷三良の墓があるので、そのことでしょう。しかし、誰を指しているのかは不明。
「丘ニ登リ」が緑ヶ丘を指すのかは不明で、湧田村もしくは湧田窯周辺(泉崎周辺)である可能性もあります。(国場周辺説もある)

もう片方の左の碑には、以下のようなことが書かれています。

瓦屋つちのほて真南向かて見りはカラヤツィジヌブティマフエンカティミリバ
島ぬらる見ゆる里やみらんシマヌラドゥミユルサトゥヤミラン

意味は「瓦屋近くの丘から南を見れば、故郷の裏は見えるが、愛しい人の姿は見えない」というニュアンスで、悲しい歌です。

写真集

↑歌碑

↑由来

↑旧地名真和志間切牧志村照川原

最後に改めて書いておきますが、夏場に当歌碑を見に行くことは控えましょう。危険です。

記事中の情報

「張献功」Wikipedia→こちら
張献功の墓→こちら
渡嘉敷三良の墓→こちら
那覇景観資源について→こちら

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