真和志線街路事業
真和志線は、県道29号(主要地方道那覇・北中城線)を起点とし、市道繁多川松川線を通り、神原識名線(市道三原識名線)との交差点を終点とする延長約860mの補助幹線道路です。
近隣の小学校・高等学校等に配慮し、両側に歩道と自転車道を設けることで、車両通行の円滑化、安全で快適な歩行空間及び自転車の走行空間の確保を図ることが求められています。
僕も真和志線は毎日通ります。
上記の引用文で書いているように、近隣には松川小学校と沖縄工業高等学校があります。
通勤通学の時間帯は、車やバイク・バス・高校生の自転車・スクールゾーンが相まってカオスと化します。その光景はバンコクの渋滞の如し。
特に沖縄工業生の自転車集団は本当に危険です。
繁多川十字路から松川共同住宅前を通り、松川内科小児科医院前の丁字路までの幅員は7mから8m。歩道のない狭隘な道路です。
相当危険な状況で、子どもを巻き込む交通事故がいつ起きてもおかしくありません。一刻も早く幅員を拡張し、歩道や自転車道を設けるべきだと思います。
しかし、真和志線街路事業の進捗状況は芳しくありません。今はどういう状況なのでしょうか?
写真
↑松川内科小児科前の様子
↑沖縄工業高校付近の様子
↑繁多川十字路付近の様子
↑スクールゾーン
整備箇所
松川内科小児科前と繁多川十字路では、数十mだけ整備が始まっていますが、大部分は未整備のままで放置されています。
「着手はしていますよ」とアピールするために、先行して整備したのでしょう。
実際、那覇市役所道路建設課のページをみると、整備状況をアピールしています。
※那覇市役所道路建設課「真和志線」よりキャプチャ(2019/02/19)
しかし、今の整備状況では危険性は全く改善していません。
那覇市議会では?
この道路は、以前から危険であると度々議論に上がっていました。
那覇市議会ではどのような議論がなされてきたのでしょうか?一部を紹介します。
※以下、質疑応答の文章は、那覇市議会会議録より引用しています。
※文章中、省略してる箇所があります。全文は各会議録のリンクより確認ください。
平成17年(2005年)2月定例会-3月4日 |
瀬長清議員:繁多川松川線の整備について。当該道路は松川小学校の通学道路で、スクールゾーン区域である。またバス路線であり、歩道が狭いため、通学する児童が危険な状態であります。事故の発生を防ぐためにも、道路や歩道の幅員拡張が必要であります。 建設管理部長(当時):整備要望箇所の現状は、繁多川松川線が平均幅員約7mであり、歩道のない道路となっております。 ー会議録はこちらより引用ー |
平成17年(2005年)6月定例会-6月10日 |
玉城仁章議員:本市の市域面積というのが狭隘なところに、小学、中学、学校の道路とか歩道橋とか、ひしめき合ってなかなか交通の行政というのは大変難しいんじゃなかろうか。そういう行政の立場も勘案しながら、3点ほどの質問をしたいと思っております。 建設管理部長(当時):本市において、交通量が多く、路線バスが運行し、通学路にもなっている道路としては、市道繁多川松川線が考えられます。当該道路は歩道が設置されていないため、歩行者の安全確保に難点があり、また車道部においては部分的に幅員が狭い部分や、また工作物や電柱等も多く、車両の円滑な流れを阻害している道路となっております。 ー会議録はこちらより引用ー |
平成17年(2005年)6月定例会-6月9日 |
崎山嗣幸議員:(前略) 都市計画部長(当時):繁多川、松川地域はスプロールによる急速な市街化により都市基盤整備が遅れている地域であり、今後、主要生活サービス道路や地域幹線道路が必要な地域であると認識しているところであります。 ー会議録はこちらより引用ー |
平成19年(2007年)2月定例会-2月27日 |
玉城仁章議員:(前略) 都市計画部長(当時):ご質問の道路は、繁多川交差点から旧松川共同住宅前を通る、現況幅員が7mから8mの歩道のない道路で、平日1日当たり176本のバスが通過する地域内幹線であります。 ー会議録はこちらより引用ー |
平成20年(2008年)6月定例会-6月12日 |
玉城仁章議員:(前略) 都市計画部長(当時):(前略) ー会議録はこちらより引用ー |
平成21年(2009年)6月定例会-6月11日 |
玉城仁章議員:(前略) 都市計画部長(当時):(前略) ー会議録はこちらより引用ー |
平成22年(2010年)9月定例会-9月22日 |
宮平のり子議員:(前略) 都市計画部長(当時):市道繁多川松川線周辺は、住宅が密集し、沖縄工業高校や松川小学校が隣接するなど、自動車、歩行者の交通が多い路線でありながらも、道路幅員が狭く歩道がない上に、路線バスの運行路ともなっております。 ー会議録はこちらより引用ー |
平成22年(2010年)12月定例会-12月10日 |
宮里光雄議員:(前略) 都市計画部長(当時):(前略) ー会議録はこちらより引用ー |
平成24年(2012年) 2月定例会-02月21日 |
平成24年度翁長雄志市長(当時)の施政方針 翁長雄志市長(当時):(前略) ー会議録はこちらより引用ー |
平成24年(2012年)6月定例会-6月18日 |
喜舎場盛三議員:(前略) 建設管理部長(当時):沖縄工業高校の正門前の市道松川繁多川線における安全対策につきましては、道路片側に区画線を設け、約1m幅の歩行空間の確保を行っているところであります。 ー会議録はこちらより引用ー |
平成24年5月15日に許可された真和志線の都市計画事業は、平成28年8月23日に事業地変更に伴い、事業施行期間が延長された。 -1枚目:沖縄県公報-平成24年5月15日(PDF)よりキャプチャ- |
平成29年(2017年) 2月定例会-2月22日 |
平良仁一議員:(前略) 建設管理部長(当時):平成29年度の街路事業は、那覇市内9路線の整備を予定しており、沖縄振興公共投資交付金、いわゆるハード交付金を活用して事業を行っております。 平良仁一議員:(前略) 建設管理部長(当時):平成29年度に用地取得や移転補償を予定しておりました地権者の皆様方に対しましては、今回の予算減額により計画が遅れることについて、個別に丁寧にご説明を行い、ご理解とご協力をお願いするとともに、今後の事業進捗に影響が出ないような予算確保に向け、今後国や県と協議を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。 ー会議録はこちらより引用ー |
平成29年(2017年) 6月定例会-06月13日 |
喜舎場盛三議員:(前略) 建設管理部長(当時):都市計画道路真和志線につきましては、当初、事業期間を平成24年度から平成30年度までとして事業を進めてまいりましたが、詳細設計に伴う都市計画決定の変更や、用地取得及び物件補償の交渉に不測の時間を要したことなどにより、平成28年8月に事業期間を平成34年度に変更しております。 喜舎場盛三議員:今、答弁ございましたように、当初は平成30年度までの計画のようでした。しかし、さまざまな理由、用地取得や物件補償の交渉に不測の時間を要したことなどにより、終了が平成34年度に変更しております。 建設管理部長(当時):交渉がおくれている地権者などに対しましては、個別に面談を行い、スケジュールのおくれなどについて説明をしております。 喜舎場盛三議員:事業期間が平成34年度に変更された。これが決まったのが28年の8月ですね。昨年の8月。私がこのアパートの住民から相談を受けたのが、たしかことしの2月、3月だったと思うんですね。 ー会議録はこちらより引用ー |
平成30年(2018年) 6月定例会-06月14日 |
平良識子議員:(前略) 都市みらい部長(当時):市計画道路真和志線につきましては、平成24年度から事業に着手し、その後、平成28年度に詳細設計に伴う都市計画の変更に伴い、事業期間を平成30年度から平成34年度まで延長する認可の変更を行っております。 平良識子議員:(前略) 久高將光副市長:沖縄振興公共投資交付金につきましては、これまで街路事業に限らず大幅に減額されている状況にあり、事業進捗に影響があるものと認識をしております。 平良識子議員:ぜひこの真和志地域、次世代の取り組むべき、次年度からこの都市計画、真和志線を中心に取り組んでいただけますように、よろしくお願い申し上げます。予算確保、頑張ってください。 ー会議録はこちらより引用ー |
平成30年(2018年) 9月定例会-09月07日 |
城間幹子那覇市長の1期4年の自己評価と、2期目に向けた政策課題についての質問に対する城間市長の答弁。 城間幹子市長:(前略) ー会議録はこちらより引用ー |
説明不足
僕は真和志線事業予定地周辺で生活しており、祖母宅が同事業の影響で立ち退きになる予定です。
何度か住民説明会にも足を運びましたが、説明不足甚だしい印象です。
祖母宅に届いた説明会の手紙は過去に2回だけで、実際に説明会に参加したのはその2回だけです。
1回目は事業全体の説明。2回目は事業地変更の説明。僕の記憶ではそれだけです。
周辺住民は何がなんだか理解が全く追いついていません。
上記の会議録にあるように、ハード交付金の減額や事業地変更の影響で、事業期間は平成30年度から平成34年度に延長されました。
この延長決定に際しても、那覇市はA4用紙1枚だけを送りつけてきて、それ以降は音沙汰なしです。
こんな重要なことをこれだけで済ませていいのか?あまりにもひどい。
「御連絡が遅れましたこと、また書面でのお知らせになりまして大変申し訳ございません」じゃねーよ!!
しかも、平成28年8月に事業施行期間延長が決定したのに、手紙が送られてきたのが平成29年10月。1年以上も住民に通知しないって一体どういうこと?
立ち退きする住民は「保証額はいくらなのか?」「いつまで立ち退きすればいいのか?」「次の家を探さないといけない」などなど、色々と予定を立てないといけない。もっと市民目線の説明をしてほしい。
たまに近所のおばさんから尋ねられます。
近所のおばさん:那覇市から説明あった?
僕:全然ないです。そっちは?
近所のおばさん:全然ない。困るねぇ。
などなど….
今僕たち当事者が知りたいことは
「今、一体どうなっているのか?」
「いつまでに立ち退かないといけないのか?」
「補償金額はいくらなのか?」
「今後の予定はどうなっているのか?」
那覇市は中核都市で、多数の事業や政策を抱えて大変なのはわかります。
また、予算減額で関係する部署は動けないのでしょう。それもわかります。
しかし、この事業の進め方はあまりにも酷い。住民は置いてけぼりです。
那覇市議会で建設管理部長は「個別に丁寧にご説明を行い、ご理解とご協力をお願いする」「丁寧に説明し、ご理解が得られるよう取り組んでおります」などと答弁していますが、どの口が言っているのか。口巧者甚だしい!
少なくとも、僕たち家族には全く説明がありません。これは「お役所仕事」と揶揄されても仕方ないんじゃない?
僕は、この記事を公開することで那覇市役所を強く批判したい。
「進捗状況に応じてして、きちんと説明してほしい」
故翁長雄志知事が那覇市長の時代に「行政は最大のサービス産業」と掲げ、市民の視点でサービスが提供できるよう市職員の意識改革を進めていました。
文化芸術発信拠点施設(新市民会館)事業などを見ても、現行政は市民視点のサービスや説明が全然できていない。それどころか混乱を招いている。
もう一度、翁長市長が掲げたスローガンを思い出して、事に取り組んでほしい。
記事中の情報
那覇市役所道路建設課「真和志線」→こちら
那覇市役所→こちら
那覇市議会→こちら
当記事では、那覇市議会の会議録検索を使用し多数引用しています。
引用に際して、質疑応答の一部を省略して掲載しています。(内容に変更が生じないように省略したつもりです)
質疑応答の全文は、各リンクよりご確認ください。
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